福岡市教育委員会は、給食の内容に対する批判を受け、外部有識者を交えた検討会を設けて献立の改善に取り組む方針を決定しました。 ざっくりPOINT 唐揚げ一つの給食写真がSNSで物議 栄養は基準内でも見た目が問題視 2学期から給食費無償化も実施予定 給食に求められる「栄養」以上の価値 福岡市の「唐揚げ一つ給食」問題は、栄養基準を満たしているにもかかわらず、「見た目の貧しさ」が批判を集めたことで注目されました。 文部科学省が定める学校給食の基準では、カロリーや栄養素のバランスが重視されており、見た目は考慮されていません。 しかし、SNS時代では写真一枚の印象が広まりやすく、教育的な側面や食文化の体験としての「食の楽しみ」も求められるようになっています。 外部有識者を交えた検討会を設けることで、多様な視点から献立の充実を図ろうとする今回の動きは、単なる見た目の改善ではなく、給食を通じた食育の強化とも捉えられます。 ============================ 子どもの視点に立った給食改革を 今回の対応は、教育現場が子どもたちの声や社会の反応を真摯に受け止めて変化しようとする姿勢を示しています。 市長の「食べたいと思う食事を提供する」という発言は、食育の根本にある「食を楽しむ」視点の重要性を再認識させるものです。 給食費の無償化という大きな政策転換とあわせて、単にお腹を満たすだけでなく、地産地消や多様な食体験を通じた学びの機会として給食を再構築することが求められています。 見た目の改善も含めた今回の検討は、教育政策にとって前向きな一歩となるでしょう。 今後は現場の声を丁寧に拾いながら、持続可能な制度としての給食のあり方が問われていきます。 ============================ 福岡市教育委員会は、市立小中学校で提供する給食の献立について、外部有識者を交えた検討会を設けて改善を図る方針を決めた。主菜の唐揚げが一つだけだった市立小の給食写真がSNSに投稿され、「粗末だ」「育ち盛りなのに」といった批判が相次いでいた。 【写真】一つだけの唐揚げが批判を浴びた給食 福岡市役所 市教委は「食育」の専門家や飲食業界で活躍する人材などの中から選ぶ方向で調整している。検討会では献立を充実させるためのアイデアを募り、見栄えだけでなく、地元産食材を取り入れた「地産地消型メニュー」の採用も目指す。 高島宗一郎市長は11日、読売新聞の取材に対し、市の給食予算の増額を図っていく方針を示した上で、「『効率よく栄養を』という給食の既成概念から離れ、『食べたいと思う食事』を提供しているプロの視点を入れたい」などと述べた。 問題の給食は4月に出されたもので、唐揚げ一つのほかはご飯にみそ汁、牛乳だった。市教委は必要な栄養は確保されているとしつつ、「器が大きいため、相対的に小さく見えてしまった。見た目も考えないといけなかった」としている。 学校給食を巡っては、近年の物価高に伴って原材料費が高騰。市教委によると、今年度は1食当たり289・47円で、10年前の2015年度(243・15円)と比べて約2割増となっている。一方、保護者から徴収する給食費は小学校で月額4200円、中学校で同5000円。この10年は据え置かれ、市は公費負担を増やして対応している。今年度の補填(ほてん)額は、3年前の約3倍となる約12億円に達した。
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