西武・山川穂高はどうなる? プロ野球界「強制わいせつ」過去2例は逮捕即解雇

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再びプロのグラウンドでプレーする姿は見られるのか──。ホームラン王を3度も獲得し、3月のWBCでは侍ジャパンの一員として世界一に貢献した西武の主砲・山川穂高(31)に強制わいせつ致傷疑惑が持ち上がっている。5月11日配信の文春オンラインの記事によれば、昨年11月に20代の女性と都内で食事をした後、ホテルで女性を無理やり押し倒し、下半身から出血する怪我を負わせたという。警察は強制わいせつ事件として被害届を受理し、山川はWBC終了直後に事情聴取を受けた。文春の取材に対し、山川はホテルに行って女性に怪我を負わせたことは認めたものの、無理やり行為に及ぼうとしたことは否定している。

【写真】巨人選手のわいせつ致傷容疑での逮捕に騒然

山川は報道の当日「5番・一塁」でスタメン出場して4打数1安打だったが、翌日に二軍落ち。球団は「総合的に判断してコンディション的に抹消」と説明した。

「明らかに報道の影響です。実質的な無期限謹慎となるでしょう。山川がベンチにいればチームも微妙な雰囲気になるし、スタンドからは間違いなく野次が飛ぶ。たとえ活躍しても、ファンも複雑な心境になる。今の状況ではとてもじゃないけど、ホームランを打った後の“どすこい”パフォーマンスもできないですよ。

昨今は『コンプライアンスが厳しくなっている』とよく指摘されますが、山川が女性を無理やり押し倒して下半身から出血する怪我を負わせたならば、時代に関係なく許されない行為です」(球界関係者)

過去の解雇事案の根拠となった「統一契約書の第17条」
山川の件は、いまも警察が捜査中だが、NPBには過去にわいせつ事件で逮捕された選手がいる。1991年12月の大洋(現・DeNA)の若手投手・A、2000年10月の巨人の中堅野手・Bの2件だ。

「Aは幼女への強制わいせつと公然わいせつ、Bは20代の女性への強制わいせつ致傷などで逮捕されています。Aは年末の発覚という事情もあって約2週間後、Bは当日に自由契約、つまり解雇されています。

当時の報道によれば、Bは宮崎市内のスナックで知り合った女性と飲酒している時に胸を触るなどして胸にスリ傷を負わせています。店を出た後、路上でその女性に無理やりキスして抗議されると、履いていたスニーカーで頭を3回殴り、5日間の怪我をさせた疑いで逮捕されている。女性から被害届を出されていました。

山川の行為が事実だと認定されれば、この件よりも重く、解雇になる可能性は十分あるでしょう。もちろん被害者の心情を考えると、事件の程度に大小はありません」(野球担当ベテラン記者)

解雇の根拠は、統一契約書の第17条にあるという。

〈第17条 (模範行為) 選手は野球選手として勤勉誠実に稼働し、最善の健康を保持し、また日本プロフェッショナル野球協約、これに附随する諸規程ならびに球団の諸規則を遵守し、かつ個人行動とフェアプレイとスポーツマンシップとにおいて日本国民の模範たるべく努力することを誓約する。〉

「大洋のAが解雇された際には、この条文が持ち出されました。当時は永久失格選手、つまり永久追放の可能性も取り沙汰されるほど球界を震撼させた。永久追放は免れたものの、セ・リーグの川島広守会長(当時)が全球団に無期限契約拒否を要請し、アメリカから身分照会を求められても突っぱねました。

2000年の巨人はBが逮捕された当日に解雇した上に、さらに厳しい対応もしました。手続き上“自由契約”なのですが、他球団と契約できるウエーバー公示に名前を載せないようにコミッショナーに要望した。それほどの“重罪”と判断したのです(※翌年2月以降は他球団と契約ができる形に)。コミッショナー事務局の広報部長が『前例のない破廉恥な事件。野球協約と離れた判断があってもいいのではないか』と話したほどです」(前出・球界関係者)

解雇された後に現役復帰できるか否かの境界線

過去の例を見る限り、山川が逮捕に至るようなことがあれば、解雇は免れないだろう。その場合、気の早い話になるが、NPB復帰はあるのか。Aはのちに中日で現役復帰している。Bはトライアウトを受験したものの契約する球団は現れなかった。この差は何だったのか。

「横浜市内の政財界が中心となり、Aの復帰嘆願署名が約22万人も集まり、逮捕から1年半後の1993年5月にセ・リーグの川島会長に手渡されています。この時は世論がまだ許さず、すぐには復帰できませんでしたが、この年のオフに中日が打撃投手として契約し、1994年の6月に支配下登録されました。

 Bも巨人の私設応援団が復帰嘆願の署名を集めましたが、約2万人でした。復帰できるか否かの一番の判断材料は野球の実力と年齢だったと思いますが、世論の後押しがあるかどうかも重要になるようです」(前出・ベテラン記者。以下同)

 30年ほど前と比べ、世間はコンプライアンスに目を光らせている。

「山川の報道が事実とすれば、あまりにイメージが悪く、擁護派が否定派を上回るとは考えづらい。しばらくは謹慎するでしょうから、仮に3年後の復帰となれば34歳です。リスクを背負ってまで、ベテランに手を出す球団はないと思います。野球を続けるなら、メジャーリーグなどの海外挑戦も考えられますが、アメリカは日本以上にコンプライアンスに厳しく、簡単なことではない。それよりも、まず山川はどれだけ人を傷つけたか、チームだけでなく野球界に迷惑を掛けたかをよく考えるべきです」

 過去のケースでは、Aは解雇された後、寺に修行に行き、その後は一般社会で働いている。

「何度も就職を断られ、雇用された後も世間の冷たい目を肌で感じたと言います。そのような経験をして、反省の色も見られたから、当時の川島会長も復帰を許した。あの頃と比べて、最近は年俸が高騰しており、山川は今年2億7000万円(推定)です。どのくらい貯金しているかはわかりませんが、既に働かなくても一生暮らせる分ぐらいは稼いでいる。それが彼に特権意識を持たせたとすれば、悲しいことです」

 別に山川は運が悪かったわけではない。自らの行為を猛省しなければならない。

 捜査の行方がどうなるかまだわからないが、山川の野球人生が今後も続くのかどうか、大きな岐路に立っていることは間違いないだろう。

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