電動キックボードの普及に伴い、交通違反や事故が後を絶たない中、大阪府警が異例の取り組みを開始した。警察官が実際に電動キックボードに乗って街中を走行し、市民に「正しい乗り方」を提示する模範走行だ。
- 大阪府警が全国で初めて警察官による電動キックボードの公務利用を開始
- 違反の7割を占める通行区分違反を抑止するため、警察官が「お手本」として街頭を走行
- 市民からは実用性や安全面への懸念も寄せられており、12月までの試験運用で効果が問われる
この取り組みは、大阪市中心部を管轄する東署、天満署、南署の交通課員が中心となって実施される。19日には講習を受けた6人の警察官が、大阪府警本部周辺を実際に走行し、その第一歩を踏み出した。

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「お手本」で違反を減らす 全国初の警察官による公務利用
府警によると、警察官が公務で「特定小型原動機付き自転車」を利用するのは全国で初めての事例となる。期間は12月19日までの3カ月間で、平日の日中に実施される予定だ。
背景には、深刻な交通違反の現状がある。府内では昨年、電動キックボード関連の違反が4540件に上り、その約7割が歩道走行などの「通行区分違反」だった。
電動キックボードには、最高速度を時速6キロ以下に制限するモードと、時速20キロの通常モードがある。歩道走行時には6キロモードへの切り替えが義務付けられているが、これが守られていない実態が浮き彫りになっている。
今回の取り組みで使用される車両は、長谷川工業(大阪市西区)から無償で借り受けたものだ。同社の長谷川泰正社長は「ルールを守れば安全な乗り物。警察官の乗り方をお手本にしてほしい」と期待を寄せる。
府警自転車対策室の川畑貴裕警部は、「制服の警察官が乗っている姿は珍しいはず。動画などで拡散し、正しいルールを広めてほしい」と呼びかけている。
しかし、この新たな試みに対しては、市民から賛否両論の声が上がっている。SNS上では、機動性や環境面を評価する声がある一方で、実務面での懸念を指摘する意見も少なくない。
高まる市民の関心と実務上の課題 試験運用の行方
「白バイや自転車の方が機動力が高いのではないか」「荷物の運搬や天候への対応はどうするのか」といった実用性を問う声や、警察官としての威厳や抑止力が低下するのではないかという懸念も根強い。
また、取り締まり能力の低下や、道路上での視認性の悪さを危惧する声も上がっており、社会的な受け入れにはまだ時間がかかりそうだ。
府内では昨年、59件の事故が発生し、62人が負傷した。今年も8月末までに違反件数は前年同期比で増加しており、事態は一刻を争う状況にある。
21日からは秋の全国交通安全運動も始まり、自転車や電動キックボード利用者のヘルメット着用など、交通ルールの遵守が改めて強調される。
警察と市民の信頼関係を維持しつつ、新たな交通手段とどう向き合っていくのか。この試験運用を通じて、事故抑止の実効性をどこまで高められるかが、今後の大きな焦点となるだろう。