日米間で米国が日本に対し通知している25%の相互関税発動を巡る協議の進展を踏まえ、石破首相(自民党総裁)は月内に協議の行方を見極めた上で進退の判断を行う考えを固めています。
ざっくりPOINT
石破首相、関税協議の成否を見極め進退判断へ
8月1日発動目前の「相互関税」、月内に交渉見通し判明か
閣僚級協議の結果次第でトランプ大統領訪問も視野
石破首相(自民党総裁)は22日、米国の関税措置を巡る日米協議の進展状況を見極め、近く進退を判断する意向を固め、周辺に伝えた。参院選で自民、公明両党が惨敗しながら、続投を表明したことへの反発が自民内で広がっていることを考慮した。交渉の成否が見え次第、記者会見を開き、進退を明らかにする考えだ。
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首相は22日夜、周囲に「関税交渉は国益がかかっている。参院選の責任の取り方について交渉中は明言できないが、メドがつけば説明する」と語った。米国が日本に通告した25%の「相互関税」の発動は8月1日に迫っており、当面の交渉の見通しは月内に判明する方向だ。それに伴い政局も重大局面を迎える。
訪米中の赤沢経済再生相は日本時間23日にワシントンで米国との閣僚級協議を行う方向で調整中だ。首相は、24日にも帰国予定の赤沢氏から報告を受ける。閣僚級協議の交渉に進展があれば、月内に訪米し、トランプ大統領と会談することも目指す。一方、閣僚級協議で事実上の決裂となれば、首相の進退判断は早まる可能性がある。
首相は23日には首相経験者の岸田文雄、菅義偉、麻生太郎各氏と面会し、こうした進退を巡る考え方を説明し、理解を求める方針だ。
自民内では、首相が続投を表明したことに対する不満から、「石破降ろし」に向けた動きが広がっている。22日には、首相の退陣を求める一部の中堅議員らが総裁選の前倒し実施を要求する署名活動を始めた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f035cdc2b711f06053a2f587ee15cd7dfaa3904
80兆円!払って関税15%に。
とりあえず決まった。
という事で、決断して下さい!— a-mi (@tellbou) July 22, 2025
米国の関税措置と日本の対応
トランプ大統領は7月23日、日本に対し15%の相互関税を課すと発表し、代わりにコメや自動車分野での市場開放に合意したと報じられています。
これにより、当初の25%発動案は回避されましたが、日本国内の主要産業に影響を及ぼす可能性があります。
日本側の譲歩により、米国側の圧力を一定程度かわした形にはなったものの、経済的なインパクトや国内農業・自動車業界の反発は避けられない情勢です。
一方、訪米していた赤沢経済再生相による閣僚級協議も今回の合意につながる一因となり、交渉は事実上の区切りを迎えました。
これにより石破首相は、参院選の惨敗を受けた進退問題について、交渉の節目に合わせた説明を行うタイミングを模索しています。
党内では引き続き「石破降ろし」の動きが強まり、政治の緊張は続いています。
関税合意を受けた首相の決断の重み
今回の15%関税合意によって、交渉の焦点は一旦収束しましたが、それが石破首相の政治的立場を安定させるかどうかは不透明です。
米国との市場開放合意は一定の外交成果と受け取ることもできますが、国内的には参院選での大敗や党内不満が尾を引いています。
特に自動車や農業といった基幹産業の扱いは政権にとって極めて重要であり、有権者や関係団体の支持をつなぎとめるには説明責任が問われます。
石破首相が近く記者会見を開き、進退の判断を明らかにする意向を示していることから、今後の政局に与える影響は非常に大きく、事実上の政権の正念場とも言える局面に入っています。