【8回目】訪米中の赤沢経済再生相、初日はベッセント氏と会えず空振り
赤澤経済再生担当大臣はトランプ政権による日本製品への関税発動を前にワシントンを訪問しましたが、初日はアメリカ側の主要閣僚との会談は実現しませんでした。
ざっくりPOINT
8回目の訪米もベッセント氏との面会かなわず
赤澤大臣「国益をかけた交渉、選挙結果は関係ない」と発言
トランプ政権は「アメリカ国民優先」の姿勢を堅持
報道の詳細
【ワシントン=田中宏幸】米国の関税措置を巡る閣僚級協議を行うために訪米した赤沢経済再生相は21日、ワシントンに到着した。協議のための訪米は今回で8回目となる。米国側の交渉統括役であるベッセント財務長官やラトニック商務長官との直接協議は21日に実現しなかったため、22日以降の実施を目指して調整を続ける。
赤沢経済再生相
ワシントン近郊の空港で報道陣の取材に応じた赤沢氏は、参院選の結果が交渉に与える影響について、「国益をかけた交渉で、(自民、公明の与党が)選挙で勝ったとか負けたとかは基本的に関係ない」と述べた。その上で、「何らかの合意を得たいという思いは日米双方にある」と話し、交渉を進める意欲を改めて示した。
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また、ベッセント氏が21日の米CNBCのインタビューで、「優先事項は日本政府の内部事情ではなく、米国民にとって最良の取引を実現することだ」と指摘したことに関しては、「米国ファーストを 標榜ひょうぼう するトランプ政権の閣僚なので、当然のことをおっしゃっている」と語った。
トランプ米大統領は、日本からの輸入品に対する25%の関税を8月1日に発動すると表明している。日本はそれまでに米国と合意することを目指しているが、協議は難航している。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250722-OYT1T50032
やっぱり、頑張って交渉してますアピールのためのアリバイ渡米じゃん!
— 酒好きオジさん🤡 (@ShiorinRoute76) July 22, 2025
日米通商関係に横たわる構造的なギャップ
日米の貿易交渉では、単なる関税の是正にとどまらず、構造的な貿易バランスの課題が根底にあります。
日本は長年、製造業を中心に高品質な製品を安価で輸出し続け、アメリカ側の貿易赤字を拡大させてきたという批判があります。
一方、日本側はエネルギーやITサービスの輸入を増やしており、「不均衡」は為替や市場構造の問題に起因する側面も多く、短期的な関税措置では解決しにくいのが現実です。
また、アメリカはかつてTPPを離脱し、日本はその後、CPTPPを主導する立場に移行しました。
日米間の通商枠組みは明確な共通土台を欠いた状態が続いており、今回の交渉も対話のルール作りから再構築が必要となっています。
時間との戦いの中で求められる戦略的交渉
今回の訪米はすでに8回目となり、交渉が長期化する中で実効的な成果を出せるかが問われています。
特に初日からベッセント財務長官との面会が実現しなかったことで、日本政府の交渉戦略に対する不安も広がっています。
トランプ政権が掲げる「アメリカファースト」の論理は一貫しており、国内産業保護を最優先とする姿勢は交渉をより困難にしています。
日本としては、強い交渉力に加えて、代替案や柔軟な提案を準備することが不可欠です。
「なんらかの合意」ではなく、関税回避につながる実効性のある合意が実現できるかどうかが、今後の日本経済に大きな影響を及ぼします。