2010年、神戸市で高校生が殺害された事件の裁判で23日、神戸地裁は当時17歳だった元少年に懲役18年の判決を言い渡しました。
この事件は、2010年10月、神戸市北区で当時高校2年だった堤将太さん(当時16)が男にナイフで複数回刺され、殺害されたものです。
事件から11年が経った2021年、当時28歳の男が逮捕されました。
男は精神鑑定を経て起訴されましたが、犯行当時17歳だったため、少年法の対象になり、名前を公表されることはなく、最高刑も通常の成人と異なり軽くなります。
こうした中で始まった裁判で男は「殺すつもりはありませんでした」などと述べて殺意を否認。弁護側は男に精神障害があって十分に刑事責任を問うことができない「心神耗弱」の状態のため、刑を軽くすべきだとして、懲役8年が妥当だと主張していました。
検察側は男に責任能力が十分にあり、将太さんにあった複数の深い刺し傷などから殺意あったと指摘し、懲役20年を求刑していました。
23日の判決で神戸地裁の丸田顕裁判長は、男の刑事責任能力について、精神科医が「統合失調症の特徴を満たさず、その他の精神障害があった可能性もない」と判断した鑑定結果は信用できるとし、精神障害はなく、完全責任能力があるとしました。
また、殺傷能力の高い折りたたみ式ナイフで被害者を何度も刺すなどしていることから、殺意があったことは明白としました。
その上で、男が事件当時17歳の少年であったことなどから有期懲役刑の上限の刑に処すことは躊躇されるとして、懲役18年の判決を言い渡しました。