埼玉県の大野元裕知事は26日、外務省を訪れ、日本とトルコの間で結ばれている相互査証(ビザ)免除協定の一時停止を求める要望書を堀井巌副大臣に手渡した。大野知事が同省に対して同様の要望を行うのは、昨年8月と今年1月に続き、今回で3度目となる。
- 埼玉県の大野元裕知事が、トルコとの相互ビザ免除協定の一時停止を求める要望書を外務省に提出した。
- 川口市や蕨市周辺に居住するトルコ国籍者の半数以上が難民申請中であり、地域住民の不安が深刻化していると指摘。
- 外務省側は現時点での停止には慎重な姿勢を見せる一方、今後の政策効果を見極めて判断する意向を示した。
現在、日本とトルコの間では、観光などを目的とした90日以内の短期滞在であれば、互いにビザなしでの入国が認められている。しかし、この制度が地域社会に予期せぬ摩擦を生んでいるとして、県知事が直接、国にメスを入れるよう求めた形だ。
埼玉県内の川口市や蕨市周辺には、現在2千人から3千人規模のトルコ国籍のクルド人らが居住しているとされる。この中には、出入国管理及び難民認定法(入管法)違反で退去強制命令を受けながらも、収容を一時的に解かれた「仮放免」状態にある者が少なくない。

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「地域社会の限界」訴える3度目の直談判
政府の統計によれば、昨年末時点での国内における仮放免者の国籍別内訳では、トルコが最多となっている。大野知事は要望書の中で、県内に在留するトルコ国籍者の実態について、極めて厳しい認識を示した。
「県内のトルコ国籍者のうち、半分以上が難民申請者に与えられる『特定活動』の在留資格で滞在している」と大野知事は指摘。こうした状況が、地域住民の間に拭い去れない不安を広げていると強調した。
要望を受けた堀井副大臣は、「現時点では直ちに免除停止に至る状況ではない」としながらも、「国が現在取り組んでいる諸政策の結果を注視し、今後の判断材料にしていきたい」と応じるにとどまった。
会談後、記者団の取材に応じた大野知事は、3回目となった今回の要望について「これまでで最も我々の立場に理解を示してもらえたという感触はある」と、一定の手応えを口にした。
その一方で、知事は「仮に政府が具体的な動きを見せない場合には、時期を見て改めて要望を繰り返すことになる」と述べ、問題解決に向けた強い決意をにじませた。
また、大野知事は今回、埼玉県単独の要望に加え、首都圏の自治体で構成される「九都県市首脳会議」としても、適切な出入国在留管理の徹底を求める要望を併せて行っている。
このニュースに対し、インターネット上やSNSでは、地元住民を中心に「ようやく動いてくれたか」という期待の声が上がる一方で、冷ややかな視線も向けられている。
難民申請と不法滞在の課題、問われる国の対応
特に、来年に控えた埼玉県知事選挙を見据えた「票稼ぎのパフォーマンスではないか」という指摘や、「選挙が終わればまた外国人政策の舵を戻すのではないか」といった懐疑的な意見も散見される。
外務省の対応に対しても、「日本人の安全を守るのが最優先ではないのか」といった批判が相次いでおり、ビザ免除停止を求める声は、単なる行政の要望を超えた国民的な関心事へと発展しつつある。
トルコとの外交関係を重視する国側と、生活圏の安全と秩序維持を訴える自治体側。両者の溝は依然として深く、今回の3度目の要望が事態を動かす決定打となるかが注目される。
地域住民の不安を解消し、真に共生可能な社会を築くためには、ビザ制度の運用見直しを含めた、より踏み込んだ法整備と実効性のある対策が急務となっている。