日本経済の活性化を掲げて導入された「経営・管理ビザ」が、今、深刻な制度疲労と不正利用の疑いに直面している。
大阪市中央区にある14階建ての雑居ビル。一見すると何の変哲もない集合住宅だが、その実態は異様だ。一つのドアの脇には3つ、4つと表札が並び、漢字や英語の企業名がひしめいている。
- 大阪市内の雑居ビルで、一つの住所に100社以上の法人が登記される異常事態が判明した。
- 「経営・管理ビザ」の取得要件である資本金500万円等のハードルの低さが、ペーパーカンパニー乱立の温床となっている。
- 制度の本来の目的である経済活性化が形骸化しており、法務省による監視体制の強化が急務となっている。

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このビルに登記されている法人は約100社にのぼる。驚くべきことに、上層階まで同様の状況が続くものの、どの部屋からも人の気配はほとんど感じられない。
「1室に複数社」の実態 大阪のビルで何が起きているのか
テナントに入居する日本人女性は、かつて建設業者の単身寮だったこのビルが、令和3年以降に中国系の事業者に所有者が代わってから変貌したと証言する。
女性によると、内部はパーテーションで細かく区切られ、「1区画で1企業」という形式的なオフィスが詰め込まれている状態だという。
さらに、郵便物を取りに来た中国人女性からは「保険証が作れ、教育も受けられる。部屋は投資目的」といった趣旨の発言があったことも明かされた。
こうした事態は中央区に限った話ではない。大阪市東成区の8階建てビルでも60社以上の法人が登記されているが、呼び鈴を鳴らしても反応はない。大正区のビルに至っては120社以上が登記されているという。
経営・管理ビザは、資本金500万円以上、あるいは常勤職員2人以上の雇用といった要件を満たせば取得可能で、最大5年間の在留が認められる。
しかし、この要件は諸外国と比較しても緩やかであり、結果として「ペーパーカンパニー」の乱立を招く構造的な欠陥を抱えている。
弁護士の北村晴男氏も自身のSNSで「500万円で経営管理ビザを買えることにしたのは一体誰だ」と強く疑問を呈するなど、専門家からも制度の甘さを指摘する声が相次いでいる。
制度の「抜け穴」と問われる日本の入管行政
背景には、政治的・経済的な不安定さを抱える国々からの富裕層が、資産移転や移住の手段として日本のビザ制度を利用する動きがある。
本来、外国人起業家を誘致し、雇用創出や投資を促すはずの制度が、実態のない「移民」の受け皿として悪用されている現状は看過できない。
制度が形骸化すれば、日本社会の信頼性を損なうだけでなく、治安や社会保障制度への悪影響も懸念される。
法務省や関係機関には、登記後の事業活動の実態調査や、定期的な事業報告の義務化など、監視体制の抜本的な強化が求められている。
「健全な外国人起業家の受け入れ」という本来の目的を取り戻すため、今こそ制度の厳格化に向けた政治的決断が必要な時期に来ている。