日本での「経営・管理ビザ」を巡り、実態のない法人が多数登記される事例が相次いで確認されています。
ざっくりPOINT
大阪市中央区の雑居ビルに約100社の法人が登記
大阪市内の別のビルにも60社以上が登記
大正区のビルに120社以上が登記
報道の詳細
経営・管理ビザ制度と不正利用のリスク
日本の「経営・管理ビザ」は、外国人による起業や投資を促し、日本経済の活性化を目的に導入された制度です。資本金500万円以上、あるいは常勤職員2人以上の雇用といった条件を満たせば取得可能で、最大5年間の在留が認められています。しかし、この条件は諸外国と比較しても緩やかであるため、制度の趣旨とは異なる利用が増えていることが指摘されています。
特に問題となるのは、実際に事業活動を行っていない「ペーパーカンパニー」が乱立している点です。これらの法人は形式的に要件を満たしているものの、実体のない事務所や名義上の取締役を利用して登記が行われており、結果としてビルの一室に数十社が集中するケースも見られます。こうした事例は、日本の制度の信頼性を損なう恐れがあるだけでなく、不正な在留資格取得の温床となるリスクを孕んでいます。
一方で、中国をはじめとした一部の国では、政治的・経済的な締め付けを背景に、富裕層が資産移転や移住先を求める動きが強まっています。その受け皿として日本のビザ制度が利用されている現状も無視できません。もし制度が実態のない利用に偏れば、本来期待されるはずの投資促進や雇用創出といった効果は限定的となり、日本社会に不安を与える要因となります。
今後は法務省や関係機関による制度の厳格化や監視体制の強化が必要です。例えば、登記後の事業活動の実態確認や、一定期間内での事業報告義務化などの仕組みを導入することで、制度本来の目的である「健全な外国人起業家の受け入れ」を確保することが求められます。
500万円で経営管理ビザを買えることにしたのは一体誰だ⁉️
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— 北村晴男 (@kitamuraharuo) September 29, 2025
一つのビルに120社が登記、乱立する実体なき法人「経営・管理ビザ」中国に「移民」会社
日本で起業する外国人向けの「経営・管理ビザ」を巡り、取得要件の甘さを逆手にとった事案が相次いで発覚している。実体のない法人が一つのビルに乱立していることも判明し、産経新聞はそのビルを直撃した。
《710A ○○株式会社》《710B ○○株式会社》《710C ○○○株式会社》
大阪市中央区の14階建て雑居ビル。一般住民も住む集合住宅だが、一つのドアの脇に3、4の表札が掲げてあり、漢字や英語の企業名が並ぶ。上層階までこうした部屋が続くも、いずれも人の気配はなかった。
このビルに登記された法人は約100社。テナントに入居する日本人女性によると、このビルは以前、建設関係の業者の単身寮として利用されていた。令和3年以降、所有者が日本人から中国系の人物が代表を務める事業者に代わり、日本語の通じない工事業者の出入りも増えたという。内部を見たという女性は「内部はパーテーションで区切られており、『1区画で1企業』のような状況だった」と振り返る。
女性は郵便物を取りに来た中国人女性に声をかけた際に「『保険証が作れ、教育も受けられる。普段は日本在住の友人の家に住み、部屋は投資目的だ』と話していた」と打ち明ける。
点在する物件、呼び鈴には反応なし
外国人によるスタートアップ企業を国内に誘致し日本の経済成長につなげようと平成27年4月に始まった経営・管理ビザ。「2人以上の常勤職員が従事」もしくは「資本金500万円以上」などを満たせば取得でき、最長5年在留できる。しかし、要件の低さは、正体不明の法人の乱立を招く。
大阪市内には同様の物件が点在する。60社以上の法人が入居する東成区の8階建てビル(築35年)。法人の部屋は呼び鈴にも反応がなかった。
https://www.sankei.com/article/20250929-BSRGEVKGQNJK5I2QTV622FMFUI/