参政党のさや氏(本名・塩入清香氏)が選挙期間中に放った「核武装が最も安上がり」という主張が、被爆地・広島のトップを激しく揺さぶっている。
事の発端は、7月3日に配信されたインターネット番組での発言だ。さや氏は核保有の是非について問われ、「北朝鮮ですら核を持つことで国際社会での交渉力を得た」と指摘。その上で、「核武装こそが最も安上がりで、安全を強化する策の一つだ」と持論を展開した。
- 参政党のさや氏がネット番組で「核武装が最も安上がり」と主張し波紋を呼んでいる
- 広島市の松井一実市長が定例会見で「維持コストやリスクを無視した的外れな議論」と強く批判
- 北東アジアの安保環境の変化を背景に、核保有を巡る議論がタブーを超えて広がりを見せている

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この発言に対し、広島市の松井一実市長は8月1日の定例会見で真っ向から反論した。松井市長は「決して安くはない」と断じ、「維持のために膨大な資材や研究者が必要となる」と指摘。核兵器保有がもたらす経済的・人的コストの重さを強調した。
「維持コストとリスクを無視」広島市長が突きつけた現実
さらに松井市長は、核兵器がもたらす負の側面についても言及した。「一過性の脅しにはなるかもしれないが、長期的な国際関係を構築する上では機能せず、むしろ混乱を生む可能性がある」と警鐘を鳴らす。
市長は「知恵を使って暴力から逃れる道を探るのが正しい」と述べ、核兵器に頼らない外交努力の重要性を改めて訴えた。
一方で、さや氏の主張はインターネット空間を中心に一定の支持を集めていることも事実だ。「タブー視されてきた議論を公の場で提起した」と評価する声や、「現実的な安全保障論として検討すべきだ」という意見がSNS上で散見される。
こうした議論の背景には、北東アジアにおける安全保障環境の急速な悪化がある。近隣諸国の核開発が進む中、日本国内でも「抑止力強化」を目的とした核保有や核共有の議論を、タブー視せずにテーブルに乗せるべきだという声が徐々に浸透しつつある。
実際、韓国でも北朝鮮の脅威に対抗して「自国も核を持つべきだ」との世論が高まっており、この潮流は日本国内の議論にも少なからぬ影響を与えている。
タブーなき議論の台頭と安全保障の新たな地平
2025年の参院選においても、核保有や核共有に前向きな姿勢を示す候補者が当選を果たすなど、従来の保守・リベラルという枠組みを超えた政策論議が芽生え始めている。
さや氏の主張が直ちに国政の政策として具体化される可能性は低い。しかし、安全保障に対する国民の関心はかつてないほど高まっており、従来の非核三原則を前提とした議論だけでは収まりきらない空気が醸成されている。
「核武装」という極端な選択肢が公然と語られるようになった今、日本はどのような安全保障の形を目指すべきなのか。被爆地の市長が抱く危機感と、新たな現実を求める世論との間で、議論は今後さらに激しさを増しそうだ。