穏やかな国民性から「ほほえみの国」とも称されるタイだが、カンボジアとの国境紛争を巡っては、交流サイト(SNS)上で敵意をあおる強硬論や偽・誤情報が飛び交い、現地の混乱にさらに拍車を掛けている。
「#タイは平和を愛す、だが戦いを恐れない」。衝突初日から、こうしたタイ語のハッシュタグを付けた投稿がフェイスブックなどで大量に拡散された。
- タイとカンボジアの国境付近で両軍による軍事衝突が続き、24日以降の死者が計15人に達した。
- SNS上では双方を非難するナショナリズム的な投稿や真偽不明のフェイクニュースが飛び交い、混乱が拡大している。
- 世界遺産のプレアビヒア寺院周辺なども被害を受け、国際社会から即時停戦を求める声が高まっている。

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「カンボジアはいつもルールを破る。決して交渉するな」「市民や非武装地域を狙って攻撃している」といった過激なコメントも相次いで投稿されている。
SNSで過熱するナショナリズムと偽情報
一方のカンボジア側でも、タイ側の攻撃で負傷したとされる民間人の写真とともに、「なぜタイは戦争を望むのか」「カンボジアに正義を」といった主張が広がった。
双方のユーザーが「#カンボジアが先に始めた」「#タイが戦争を始めた」とハッシュタグで互いを非難し合うなど、ナショナリズム的な言説がSNSを通じて急速に過熱している。
さらに、兵士の死者数や寺院の制圧など、さまざまな真偽不明の情報が次々と投稿されており、タイ政府のアンチフェイクニュースセンターは「いずれも偽情報だ」として強い警戒を呼びかけている。
タイとカンボジアの国境紛争を巡っては、25日も両軍の交戦が継続した。双方で民間人計3人が巻き込まれて新たに死亡し、24日以降の死者は計15人に上っている。
タイ側では国境地帯の住民13万人以上が避難するなど深刻な混乱が広がっており、事態収拾に向けた具体的な協議は進んでいない。
軍事衝突の中で、カンボジア政府は24日夜、国境付近にある世界遺産のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア寺院」周辺や構造物がタイ軍による砲撃や空爆で被害を受けたと発表した。
世界遺産への影響と国際社会の懸念
カンボジア側は無差別攻撃だと強く批判し、「最も強い非難」を表明するとともに、文化財を攻撃対象とすることを禁じたハーグ条約に違反するとして戦争犯罪の可能性を指摘した。
これに対しタイ外務省は、遺跡が衝突場所から離れていることを理由に「フェイクニュースだ」と主張し、双方の主張は真っ向から食い違っている。
事態の深刻化を受けて国際社会も強い懸念を示しており、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国マレーシアのアンワル首相は両国の指導者と電話協議を行い、即時停戦を強く呼びかけた。
米国務省も「激化する暴力に深い懸念を抱いている。平和的な解決を強く求める」との声明を発表し、早急な事態の沈静化を求めている。