【クルド問題】埼玉・大野元裕知事「移民、入管政策は国の所管。国にしっかり責任を持ってもらえる政策が必要だ」

川口市でトルコ国籍のクルド人グループと地域住民の間に軋轢が表面化し、大野元裕知事が国に移民・入管政策の責任ある対応と治安対策の強化を求めました。

ざっくりPOINT
移民・入管政策が参院選の争点に急浮上
川口市でクルド人との地域トラブルが顕在化
大野知事が国に治安支援と責任ある対応を要請

埼玉県川口市でトルコ国籍のクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題に関し、大野元裕知事は15日の定例記者会見で、20日投開票の参院選で外国人問題が争点に急浮上していることについて「移民、入管政策は国の所管であり、国の方向性を大きく左右する課題。人口減少の中でとても大切な議論だ」と述べた。

大野氏は外国人の受け入れについて、自身の海外経験を引き合いに「人口減少の中で外国人をどう活用していくか、グローバル化にどう対応するかといった問題は必ずしもいいことばかりではない。欧州でも中東でも、外国人を必要とするよい側面と、負の側面の両方がある」と指摘。

「県の所管ではないが、結果として川口市で不安があおられるような状況や、自治体がさまざまなしわ寄せを受ける状況は決してよい話ではない。国にしっかり責任を持ってもらえる政策が必要だ。これまで警察や国にさまざまな要望をしているが、治安対策などでの国の支援は不可欠だと考えている」と述べた。

https://www.sankei.com/article/20250715-PH4TR5PUR5EGHKM26H5K4A5JBE/?outputType=theme_election2025

広がる批判と自治体の責任
大野知事が「移民、入管政策は国の所管であり」と述べたことに対して、「逃げるな」「責任持てないのに色々やってたよね?」「表彰してたのでは」といった批判がXなどで広がっています。

かつて川口市がクルド人関係団体を表彰した経緯がある中で、今回の知事の発言に対し、責任転嫁との印象を持った市民も多くいます。

こうした背景には、地域でのトラブルや騒音、治安の問題が積み重なり、住民側の不安が限界に達している現状があります。一方で、外国人コミュニティ側にも言い分があり、国や自治体が仲介役としての役割を果たすべきだという声も上がっています。

自治体として、ただ国に対応を求めるだけではなく、地域の声を受け止めながら中長期的なビジョンを持って多文化共生社会を築いていく責任があることが、今改めて問われています。

国と地方の連携が問われる局面に
今回の問題を通じて浮き彫りになったのは、移民政策や治安対策における国と地方自治体の責任分担の不明確さです。

国が制度を作っても、実際に対応するのは自治体であり、住民の不安や軋轢は現場で発生します。これに対し、自治体がどこまで責任を持ち、どこから国が支援するのかという体制整備が急務となっています。

さらに、多文化共生の観点からは、教育・就労・地域交流といったソフト面での支援も必要であり、単なる治安対策にとどまらない包括的なアプローチが求められます。参院選を通じてこうした議論が深まり、国政レベルでの方向性が明確になることが期待されます。

今後は国が責任ある政策を打ち出し、地方と連携して制度を運用する体制づくりが進められるべきです。地方自治体も受け身ではなく、住民の声を起点にした能動的な施策で信頼を回復する必要があります。川口市の事例は、今後の日本全体の外国人政策の試金石となる可能性があります。