小泉進次郎農相「コメの緊急輸入を含む輸入拡大案に慎重論?承知していない」「必要なことは何でもやる」

コメ価格の高騰を受け、小泉進次郎農相は「価格抑制のために必要なことは何でもやる」とし、輸入拡大や政府備蓄米の放出などあらゆる手段を検討する姿勢を示しました。

ざっくりPOINT
コメの緊急輸入「慎重論は承知していない」
備蓄米は需要次第で「無制限で出す」姿勢
価格抑制へ「何でもやる」決意を強調
報道の詳細

小泉農相「コメ輸入慎重論は承知せず」 価格抑制へ「何でもやる」

記者団の取材に答える小泉農相(9日、東京都千代田区)
小泉進次郎農相は9日、コメの緊急輸入を含む輸入拡大案について「慎重論が出ているとは承知していない」と述べた。「価格の高騰を抑えるために必要なことは何でもやる」と強調した。農林水産省で記者団の取材に答えた。

関税ゼロで輸入するミニマムアクセス(MA)米のうち主食用の輸入時期に関して、前倒しを検討する案に改めて触れた。これまでの入札時期は9月が通例で「9月だから9月というのではなく、今の価格高騰に対して最大の効果を発揮できるあり方を模索したい」と語った。

自民党の森山裕幹事長は7日の党会合で「主食であるコメを外国に頼ってはいけない」との考えを示した。小泉氏は6日の記者会見で「聖域なく、あらゆることを考えて価格の安定を実現する」と話していた。

小泉氏は中小スーパー向けの随意契約での政府備蓄米の放出にも言及した。現在受け付けている申請量が6万トンの枠に達しない場合は「まだまだ求めている方にどう活用できるかも含めて、需要があれば無制限で出す姿勢は全く変わっていない」と述べた。

コメの卸間取引(スポット)価格が下がり始めていることについて、小泉氏は「いいニュースだが、今後の動向をしっかりと見ていきたい」と注視する考えを強調した。「必要な水準まで下がっているかと言えば、まだ始まったばかりで、スピードを緩めることはない」と説明した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0927M0Z00C25A6000000/

背景にあるコメ価格高騰と政府の危機感

今回の小泉進次郎農相の発言は、国内のコメ価格が高騰し、家計や流通業者に深刻な影響を与えていることを背景としています。

特に外食産業や小売業界ではコスト上昇が続いており、政府がどのような対応策を講じるかに注目が集まっています。

コメは生活必需品であり、価格の上昇はインフレ懸念とも直結します。

これまでは国内農業の保護や自給率の観点から、コメの輸入には慎重な立場が取られてきましたが、今回の発言は従来の枠組みを超えて価格安定を優先する意志の表れとも言えます。

実際にミニマムアクセス米の前倒し輸入など、具体策の検討が進められている点も注目されます。

今後の議論と求められるバランス

小泉農相の「価格抑制のためには何でもやる」という発言に対しては、X上でも賛否が分かれており、「国産米を守るべき」「輸入拡大で価格が安定するならやるべき」といった声が見られます。

一方で、自民党内からは「主食であるコメを外国に頼ってはいけない」とする意見も出ており、政府内でも方針のすり合わせが必要となるでしょう。

また、無制限の備蓄米放出に関しては、需給バランスや長期的な価格形成への影響が懸念されます。

短期的な価格抑制と農業政策の整合性、さらには消費者保護とのバランスをどう取るかが、今後の焦点となります。

価格安定への強い姿勢が示された一方で、具体策の透明性と実効性が問われる局面です。