TOEIC試験で他人になりすまして受験しようとしたとして中国人学生が再逮捕され、同住所での大量申し込みから集団的な不正の疑いが強まっています。
ざっくりPOINT
中国人学生が名前を偽ってTOEIC受験し再逮捕
同じ住所で40人以上が申し込み、不正計画か
マイク使用で解答伝達の疑いも浮上
TOEIC不正 中国人学生再逮捕 40人以上が同住所で受験申し込み
2025年6月6日 12時33分
英語能力テスト「TOEIC」の東京 板橋区の試験会場で名前を偽って受験しようとしたとして、27歳の中国人学生が逮捕された事件で、当日40人以上が学生と同じ住所を記載して受験を申し込んでいたことがわかりました。集団で不正を行うため、同じ試験会場に割りふらせるねらいがあったとみられ、警視庁は6日、学生を再逮捕して、さらに捜査を進めています。
京都大学大学院生で中国籍の王立坤容疑者(27)は、先月18日、板橋区で行われた「TOEIC」の試験会場で、名前を偽って受験しようとしたところを逮捕されました。
着用していたマスクの裏から小型のマイクが見つかり、警視庁は当日同じ会場にいた別の受験者に答えなどを伝えようとしていたとみています。
容疑者は他人になりすました受験を十数回繰り返していた疑いがもたれていて、警視庁は6日、ことし3月に新宿区の会場で行われた試験でも名前を偽って受験票に記入していたとして、再逮捕しました。
警視庁によりますと、前回の逮捕容疑の板橋区で行われた試験の当日は、40人以上が容疑者と同じ住所を記載して受験を申し込んでいました。
警視庁は、同じ試験会場に割りふらせ、集団で不正を行う計画があったとみています。
警視庁の調べに対し、容疑者は「弁護士と相談して話します」などと供述しているということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250606/k10014827611000.html
資格試験を狙った組織的不正の背景
今回の事件は、日本国内でのTOEIC試験を利用した組織的不正の可能性が浮き彫りになったケースです。
TOEICは就職や留学、ビザ申請など多様な場面で利用されるため、そのスコアは個人の将来に大きな影響を与えます。
そのため不正の動機も強く、過去には海外でも類似のなりすましや替え玉受験が問題になっています。
日本では2020年にも外国人留学生による不正受験が摘発されており、今回のように同一住所から集団で申し込む手口は、会場を特定し不正を円滑に行うための常套手段とみられます。
今後、試験運営側の本人確認体制の強化やAIを使った不審動向の検知が求められる場面が増えるでしょう。
不正防止の対策と制度の課題
今回の不正は、本人確認が形式的に済まされる場合の脆弱性を突いたものです。
受験者数が多い試験では、写真付きの身分証明書の確認が形骸化しやすく、またマスクの着用などで本人識別が困難になっている現状があります。
試験運営者にとっては受験者の利便性と安全性のバランスが求められますが、不正がまん延すれば試験自体の信頼性が損なわれます。
今回の事件を契機に、指紋認証や顔認証の導入、監視カメラによる録画記録など、より高度な本人確認技術の導入が現実的な選択肢となるでしょう。
一方で、個人情報保護の観点からの議論も必要であり、制度整備と社会的合意が同時に求められる局面にあります。