本当に予定通り開催できるのか?
2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博で、参加国・地域のパビリオン建設がまったく進んでいないという。建設に必要な申請の提出が「ゼロ」だというのだ。
朝日新聞(7月1日付)によると、万博には153カ国・地域が参加を表明していて、このうち各国が費用を負担して建てる独自パビリオンの建設は、計画を公表している中国やドイツなど約50カ国・地域が見込まれている。
これらの国・地域は建設会社と協議して基本設計をつくり、建築基準法に基づいて大阪市に「仮設建築物許可」を申請する必要があるのだが、市計画調整局によれば、申請は6月30日時点で「ゼロ」。万博の中心的な施設となる各国の独自パビリオンは見栄えのする複雑な構造が多く、このままでは開幕までに工期が間に合わないというのだ。
「会場の夢洲ではまだ工事なんていっこも始まってへんよ。あと2年もないのに、今から始めて全部完成さすなんて、どう考えても無理やろ。役所ん中では万博延期説まで流れ始めてますわ」(大阪市政関係者)
資材高騰と人手不足が深刻
万博の施設をめぐっては、入札不成立も相次いでいる。政府が出展する「日本館」でさえ、建設工事の入札が不成立となっていた。公募を始めた1月から期限の5月11日までに応札した事業者はあったものの、予定価格を上回っていたという。
再入札の手続きには時間がかかって着工が遅れるため、政府は任意に建設業者を選ぶ随意契約に切り替える。岡田万博相が先月27日の会見で明らかにした。従来の計画では6月中旬に着工して25年2月末に完成させる予定だったが、予定通りの完成は難しそうだ。それに、随意契約は一般入札に比べて建設費用が膨らむ懸念がある。
「業界は資材高騰と人手不足が深刻で、当初計画の発注額ではとても折り合えない。万博の仕事は断るようグループ会社に通達したゼネコンもあると聞きます。政府や大阪市は予算を上乗せしてでも間に合わせるつもりでしょうが、そうやって無理をすれば、資材も人件費もますます暴騰する。多額の税金がつぎ込まれることになりかねません」(建設業界関係者)
コロナ禍で国民の不安と反対を押し切って開催した東京2020五輪も、あれよあれよで予算規模が膨れ上がり、開催後には多くの汚職事件が露見した。二の舞いになりかねない大阪万博は、いっそ今のうちに返上したらどうか。