日中関係の悪化を背景に、中国政府が事実上禁止していた日本への団体旅行が、この夏休みシーズンを前に再開の動きを見せていることが、NNNの独自取材で明らかになった。日本の観光地では、経済効果への期待と、混雑やマナーに対する不安の声が入り交じり、複雑な様相を呈している。
- 中国政府が事実上禁止していた日本への団体旅行が、夏休みシーズンを前に再開の動きを見せている。
- 旅行会社への取材で、当局が「自分で判断せよ」と指示し、事実上の黙認姿勢であることが判明した。
- 日本の観光地では経済効果への期待と、混雑やマナーへの不安が交錯し、SNS上でも賛否両論が噴出している。
これまで中国政府は、昨年11月の髙市氏による台湾有事を巡る発言以降、日本への団体旅行を事実上自粛するよう要請していた。しかし、ここにきてその方針に変化が見られるという。
NNN北京の坂元亮太記者が取材で突き止めたのは、中国の旅行会社のウェブサイトで、日本への団体旅行が予約可能になっているという「異変」だった。事実上禁止されていたはずの日本行き団体旅行の募集が、水面下で始まっていたのだ。

News22 Visual Archive • In-Depth Coverage
事実上の禁止から一転、中国政府が「黙認」する背景
具体的には、来月中旬に出発予定の「大阪から東京へ6泊7日の弾丸トラベル」といったツアーが掲載されている。このツアーは、大阪、奈良、京都を3日間で巡り、4日目に富士山、そして5日目からは東京を観光するという多忙な日程だ。
この団体旅行を販売する中国国有の旅行会社は、取材に対し「髙市発言以降、政府の自粛要請があったので全ての旅行会社が(日本への)団体旅行を停止していたが、6月からHPに団体旅行の掲載を再開した」と明かした。
さらに、団体旅行の再開を進めようとしていた民間の旅行会社の関係者は、当局に問い合わせた際の驚くべき回答を証言した。その関係者によると、「当局に問い合わせたら『団体旅行を再開するかどうかは自分で判断してください』と言われた。つまりOK、黙認する姿勢だった」という。
この「自分で判断」という指示は、中国政府が夏休みシーズンを前に、日本への団体旅行を公には認めないものの、事実上黙認する方針に転換したことを示唆している。経済的な理由や、国民の海外旅行への需要の高まりが背景にあると見られる。
北京首都国際空港では、この動きに対し「国民レベルで往来や交流が盛んになれば、緊張した両国関係が和らぐと思う」と、両国関係改善への期待を口にする市民の声も聞かれた。
一方、日本の観光地では、中国からの観光客の増加による経済効果への期待があるものの、過去の経験から混雑や一部のマナーに対する懸念も根強い。特に、オーバーツーリズムの問題が指摘される地域では、不安の声がより一層高まっている。
SNS上でも、このニュースは大きな反響を呼んでいる。「甘えたことやってんじゃないよ!ちゃんと、取り締まれよ!!!😡」といった中国政府の対応を批判する声や、「エッーーー!来なくていいよぉ、迷惑でしかない。」と、観光客の増加を歓迎しない意見も散見される。
日本の観光地に広がる期待と懸念、SNSでは賛否両論
また、「中国政府根性無さすぎ。こんな簡単に日本にひれ伏しちゃうんだw」と、中国政府の姿勢を揶揄するコメントや、「習近平が公言したことに従わないんだ習近平の尊厳がぐらついているのかな?(笑)」と、中国国内の政治状況に言及する投稿も見られた。
「既に街にはボチボチ戻って来てる。😥😥😥」といった現状を伝える声もあり、既に一部の観光客は日本を訪れている実態も示唆されている。
中国政府の事実上の「黙認」によって再開される日本への団体旅行は、日中関係の新たな局面を映し出すとともに、日本の観光産業に光と影の両面をもたらすことになりそうだ。今後の動向が注目される。
