群馬県高崎市が市内全58校で導入を進める「小学校の午前7時開門」制度が、教育現場に大きな波紋を広げている。共働き世帯やひとり親世帯の負担軽減を目的としたこの施策だが、現場の教職員からは極めて厳しい反応が示された。
市内の教職員や校務員ら約3200人を対象に行われたアンケートでは、回答者の実に99%がこの制度に反対していることが判明した。現場が抱く最大の懸念は、子どもたちの「安全確保」である。
「共働き支援」の光と「安全確保」の影
制度の運用上、午前7時に門を開けるのは校務員であり、教員が常駐するわけではない。つまり、登校してから授業が始まるまでの間、子どもたちを見守る大人が不在となる時間が生じることになる。
- 群馬県高崎市が市内全58校で実施する「午前7時開門」に対し、教職員の99%が反対を表明した。
- 保護者からは共働き世帯への支援として歓迎の声がある一方、現場では「見守る大人が不在」という安全管理上の懸念が噴出している。
- 専門家や現場からは、学校に保育機能を求める構造的な問題への指摘や、外部人材活用などの代替案を求める声が上がっている。
保護者からは「仕事があるため、朝の30〜40分の前倒しは非常に助かる」という切実な声が上がる一方で、「先生がいない状態で何かあったら誰が責任を取るのか」という不安も根強い。

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全群馬教職員組合の高橋航平書記長は、「この制度設計のままでは、子どもが登校した際の安全が全く保証されていない」と指摘。安全を担保するためのルール整備が不可欠だと訴える。
SNS上でもこの問題は議論を呼んでいる。「学校を保育園代わりにすべきではない」という意見や、「親の都合で学校に負担を押し付けている」といった厳しい指摘も散見される。
一方で、現代の共働き世帯が直面する「小1の壁」の深刻さを訴える声も多く、保護者側と教育現場側の双方に、それぞれ譲れない事情があることが浮き彫りとなった。
三宅正治キャスターが指摘したように、教員の過重労働が常態化する中で、早朝勤務を求めることは現実的ではない。教育委員会側も「教員に早朝勤務を求めているわけではない」と釈明するが、現場の不安は拭えていない。
学校は「保育の延長」か 問われる社会のあり方
こうした中、他自治体の事例が注目されている。東京都品川区では、シルバー人材センターなどを活用し、見守りスタッフを2人体制で配置することで安全を確保している。
学校という場所が、本来の教育機能を超えて「保育の延長」としての役割を期待される構造そのものが、今の限界を迎えているのかもしれない。
「なんでも学校に役割を持たせればいいというものではない」という現場からの悲鳴は、教育行政に対する重い問いかけでもある。
子どもたちの安全を最優先しつつ、保護者の就労環境をどう支えるか。高崎市の事例は、地域社会全体で子育てを支える仕組みの再構築が急務であることを示唆している。