フジサンケイグループの前代表、日枝久氏が沈黙を破った。近年、フジテレビを巡っては視聴率の低迷や不祥事が相次ぎ、その背景に日枝氏による長年の支配体制や「悪しき企業風土」があるとの批判が強まっていた。
こうした「日枝=悪玉論」に対し、日枝氏はノンフィクション作家・森功氏による10時間に及ぶ独占インタビューに応じ、自身の言葉で反論を展開した。メディアの取材に応じるのは、一連の騒動以降初めてのことだ。
- フジサンケイグループ前代表の日枝久氏が、メディアの批判に対し10時間にわたる独占インタビューで反論した。
- 社内に「上納文化」が存在するという指摘を「冗談じゃない」と強く否定し、企業風土への批判に反発した。
- 人事介入疑惑についても、あくまで相談役としての立場であり、決定権は現経営陣にあると主張した。

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インタビューの中で、特に注目を集めたのが社内の「上納文化」に関する指摘である。一部で報じられた、特定の役員を囲む会合や、女性社員を巡る不適切な風土について、日枝氏は「冗談じゃない、フジに上納文化なんてありません」と真っ向から否定した。
「上納文化」批判を一蹴、企業風土の正当性を主張
日枝氏は「上納と懇親は全く別物だ」と強調する。自らが掲げた「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンが、歪んだ形で解釈されていることに対し、「その批判は絶対に許せません」と強い憤りを露わにした。
また、長年にわたりフジテレビの人事権を掌握し、「独裁体制」を敷いてきたという批判についても言及した。2017年に代表取締役を退任した後も、相談役として経営に深く関与してきた事実は否定していない。
第三者委員会の報告書では、日枝氏が会長や社長の人事を実質的に決定していたと指摘されている。これに対し日枝氏は、「相談を受けてきたのは事実であり、責任から逃げるつもりはない」と述べた。
しかし、その関与のあり方については「あくまで相談役としての立場であり、最終的な決定権は社長や会長にある」と主張。人事権を直接行使したわけではないとの認識を示した。
インタビューでは、第三者委員会の聴取の舞台裏や、遠藤龍之介元副会長との確執についても触れられている。特に、退任を迫られた際の驚愕の提案や、局長会での「爆弾発言」といった内部の生々しいやり取りが明かされた。
人事介入疑惑と「独裁体制」への弁明
フジテレビという巨大メディアが抱えるガバナンスの問題は、視聴者や業界関係者からも厳しい視線が注がれている。今回の独占告白は、経営トップが自ら反論する異例の形となった。
しかし、日枝氏の主張が世間の納得を得られるかは未知数だ。メディアの信頼回復には、過去の責任を明確にすることに加え、再発防止に向けた実効性のある仕組み作りが不可欠である。
日枝氏の独占告白の全容は、8月8日発売の「文藝春秋」9月号に掲載される。長年、テレビ界の頂点に君臨した人物が語る「真実」は、今後のフジテレビのあり方にどのような影響を与えるのだろうか。
メディアの透明性が問われる今、経営陣の言葉一つひとつが、視聴者からの信頼を左右する重要な局面を迎えている。