小泉農相、大手柄!? 米品薄のはずが、突然店頭に「山積み」

小泉進次郎農林水産大臣の主導で政府備蓄米が放出された結果、これまで品薄だった高級銘柄米が突如スーパーに山積みされるという現象が発生し、日本のコメ流通に潜む構造的問題が浮き彫りになっています。

ざっくりPOINT
備蓄米放出で銘柄米が急に市場へ流出
「売り惜しみ」や「ため込み」疑惑に注目
価格下落は一時的、構造改革が焦点

背景にある流通構造のひずみ
今回の急展開の裏には、日本独自のコメ流通システムが抱える問題が存在します。

特に、JA農協を中心とする既存の流通体制は、米価の安定を名目に市場への供給を人為的に調整する傾向があります。

農協が農家から買い取る価格(概算金)を高く提示しつつ、流通量をコントロールすることで価格を維持する仕組みが、市場の透明性や消費者利益を阻害しているとの批判が根強くあります。

加えて、輸入米に高関税を課す政策も国内米の高止まりを助長しています。

今回の備蓄米放出が引き金となり、在庫の放出が相次いだことで、これまで表面化しなかった構造的な問題が一気に可視化されたのです。

経済誌プレジデントの元編集長であり作家の小倉健一氏が、日本の米市場で起きた不可解な現象について深く掘り下げる――。小泉進次郎農林水産大臣が主導する政府備蓄米の放出と同時に、スーパーの棚に高価な銘柄米が山積みにされたという奇妙な出来事が起きた。ネットでは「スーパーで突然コメ袋が山積みされていた」「おかしい」といった内容の投稿がみられた。小倉氏は、この現象が単なる市場の偶然ではなく、日本の米流通システムに根ざした構造的な問題を浮き彫りにしていると指摘する。長らく続いた米不足と価格高騰に苦しんでいた消費者は、なぜ政府が安価な備蓄米を供給し始めた途端に、高値の花であったはずの銘柄米が店頭に溢れ出したのか、その裏側に潜む「ため込み」や「売り惜しみ」の可能性について、小倉氏の視点から詳細に解説する。この騒動は、JA農協を中心とした既存の流通構造や価格決定の仕組みそのものに警鐘を鳴らすとともに、日本の農業が持続的に発展していくための変革の必要性を強く示唆している。小倉健一氏が解説する――。

この急展開は理解しがたいものであった
 5月下旬から6月にかけて、日本の米市場は奇妙な現象に見舞われた。小泉進次郎農林水産大臣が主導する政府備蓄米の放出が本格化すると、それまで品薄状態が続いていたスーパーの棚に、突如として比較的高価な銘柄米が山積みされ始めたのである。

 6月4日のデイリースポーツは、「これまでコメ袋がゼロだったスーパーに突然コメ袋が山積みされていた」「うちの方は米、売り場に山積みで売ってる」「お米が山積みで売られていました」「こっちは、めっちゃ山積みだけど5kg5000円」「不思議なのは備蓄米が出始めたらいきなりブランド米が出てきたこと。値段は高いですが」「米の棚がガラガラだったのが、いきなり増えてて、びっくり」「いきなりスーパーの米在庫大量に復活」といった消費者の驚きや疑念の声が相次いでいると報じた。

 長らく続いた米不足と価格高騰に苦しんでいた人々にとって、この急展開は理解しがたいものであった。品薄と喧伝され、高値の花であったはずの銘柄米が、なぜ政府による安価な備蓄米の供給が始まった途端に、まるで魔法のように店頭に溢れ出したのか。一体、今までどこに隠されていたのか、という疑念が広がるのは当然のことであった。この現象は、単なる市場の偶然では片付けられない、根深い構造を示唆しているように思える。

https://news.yahoo.co.jp/articles/81a048be307debeee2836d72504d9a37bcd9eb6e?page=1

変革の必要性が突きつけられた
進次郎農相の備蓄米政策は、一時的に銘柄米の価格下落を実現し、消費者には歓迎されましたが、その持続性は限定的であるという専門家の指摘は重く受け止めるべきです。

価格が下がれば消費者が得をし、上がれば生産者が潤うという構図は、農業政策の本質的な課題を覆い隠しています。

今後求められるのは、農協などの流通体制の透明化や、非効率な慣行からの脱却です。

農業協同組合が持つ閉鎖的な流通網や、高コスト体質を改革しなければ、持続可能な農業と消費者利益の両立は実現しません。

進次郎大臣の政策が本当に「大手柄」だったのか、その評価は今後の改革の進展にかかっていると言えるでしょう。