中国外交官「日本の『中国銀行』は『中国』という名前の人気に便乗しようとしている」

中国外交官「日本の『中国銀行』は『中国』という名前の人気に便乗しようとしている」

神戸市にある日本の中国銀行が店舗に掲示した注意書きが、X上で話題を集めています。

この注意書きには「当行は日本の銀行であり、本店は日本の岡山市にあります。当行と中華人民共和国の中国銀行(BANK OF CHINA)は別の銀行です」と記されています。

これは、中国からの来店者が「中国銀行」という名称に混乱する事例が見られたための対応とされます。

この掲示内容に対し、中国側の一部利用者からは、「名前に便乗して両方から利益を得ようとしているのでは」といった批判も出ています。

さらに、この件を取り上げた投稿者は、同銀行が1930年に創業しており、1949年に建国された中華人民共和国よりも先に「中国銀行」の名称を使用していたことを指摘しています。

また、引用された香港出身とされるユーザーは「日本の中国地方(山陽と山陰)は古くからそう呼ばれている」「明の時代の文書でも『中国』とされていた」と述べ、中国側の主張に強い反発を示しています。

このユーザーは、中国が「中国」という名称を使用し始めたのは1911年以降であり、もともとの出自ではないとも主張しています。

日本の「中国銀行」と名称の歴史的背景

日本における「中国銀行」は1930年に設立され、当時の第一合同銀行と山陽銀行の合併によって誕生しました。

この銀行名にある「中国」は、日本の地理的区分である中国地方(山陽・山陰地方)に由来するものです。

一方、中華人民共和国の「中国銀行(Bank of China)」は、1912年の中華民国時代に設立され、その後中華人民共和国に引き継がれましたが、現在の国家体制としての成立は1949年です。

日本の「中国銀行」が「中国地方」に根ざした名称であることは歴史的に明らかであり、その使用は日本国内での地域的背景に基づいたものです。

しかし、「China=中国」という英訳の一義性から、外国人がこの名称に誤解を持つこともあり、今回の注意書きの掲示につながったとみられます。

国名と地名の交錯がもたらす混乱

今回の注意書き掲示が象徴するように、国名と地名に同じ語を用いることは、国際的な文脈ではしばしば混乱を招く原因となります。

日本の「中国地方」は、長らく歴史的にも地理的にも定着した呼称であり、それに由来する「中国銀行」も、国内では違和感なく受け入れられてきました。

しかしグローバルな視点では、「中国」という語が中華人民共和国を想起させるため、外国人、特に中国本土や香港などの人々には混乱を生じさせることもあります。

このような言語的・文化的誤解にどう向き合うべきか、また一方で、他国の文化的・歴史的背景をどれほど理解すべきかが問われる事案とも言えるでしょう。

今回の掲示は、そうした摩擦を未然に防ぐ意図を持ったものであり、国際都市・神戸ならではの配慮とも捉えられます。