飲酒運転で懲戒免職 最高裁、退職金支給認めず 元教諭逆転敗訴確定

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飲酒運転で懲戒免職となった宮城県の県立高校元教諭の男性(60)が、退職金約1720万円全額を不支給とした県教育委員会の処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は27日、約510万円を支給すべきだとした2審・仙台高裁判決(2022年5月)を変更し、支給を認めない判決を言い渡した。元教諭の逆転敗訴が確定した。

 裁判官5人のうち4人の多数意見。学者出身の宇賀克也裁判官は「高裁の判断に違法はない」とする反対意見を述べた。

 判決によると、元教諭は17年、高校の歓迎会で飲酒し、帰宅途中に物損事故を起こして酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕された。飲酒運転をしないよう注意喚起があったにもかかわらず、飲酒は約4時間に及び、帰宅には20キロ以上の運転が必要だった。小法廷は「重大な危険を伴い悪質。全額不支給の判断に裁量権の逸脱や乱用はない」とした。

 1審・仙台地裁判決(21年12月)は、退職金には生活保障の性質があるとして不支給処分を取り消し、2審は全額ではなく3割の支給が相当としていた。

 飲酒運転をした公務員の退職金支給を巡っては職種や態様によって司法判断が分かれている。実家で飲酒後に約150メートル離れた自宅に帰る途中に物損事故を起こして懲戒免職となった長野県小諸市の50代の元職員について、最高裁は2月、退職金不支給とした市の処分を取り消した1、2審判決を支持している。【遠藤浩二】

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