自民党、参院選争点に「就職氷河期」対策

参院選で「就職氷河期世代」への対策が与野党の重要政策となり、将来への不安を抱える若者層にも影響が広がっています。

ざっくりPOINT
氷河期世代の正規雇用や年金不安が深刻化
若者にも将来の生活不安が波及し政治意識に変化
国家公務員中途採用やリスキリング支援が柱に

7月3日公示、20日投開票の参院選で注目される争点の一つに「就職氷河期世代」への対策がある。賃上げが十分に行き渡らず、将来への不安は若者にも波及。有権者の投票行動を左右するとみて、与野党が支援策を打ち出している。

【図解】年齢層別の給与増減率 就職氷河期は…

 就職氷河期世代は、バブル経済がはじけた後のおおむね1993~2004年に学校を卒業し、就職活動をした世代に当たる。

 「ロスジェネ世代」(失われた世代)と呼ばれることもあり、現在は40、50代。全国に1700万~2000万人いるとされ、総人口の6分の1を占める。

 文部科学省の「学校基本調査」によると、大卒者の就職率は91年は80%を超えていたが、バブル崩壊とともに下落。00~05年は60%を割り込んだ。

 労働市場が冷え込み、アルバイトや派遣社員など非正規雇用の割合が急拡大した時期に重なる。

 正社員としてキャリアを積む機会を得られないまま子育てをしたり、親の介護が必要になったりしている人も多い。厚生年金の加入期間が短く、老後の低年金が危ぶまれるケースもある。

 ◇賃上げの恩恵、他の世代より薄く

 他の世代と比べると、近年も賃上げの恩恵を受けていない傾向が指摘されている。

 第一生命経済研究所が厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を分析したところ、19~24年の所定内給与(時間外手当などを除く)の増減率は、最も若い「20~24歳」が10・3%増でトップだった。

 30代は「30~34歳」が5・8%増、「35~39歳」が4・8%増と年代を重ねるにつれて増加率は縮小。40代は「40~44歳」が0・1%増、「45~49歳」が2・1%増と微増にとどまる。「50~54歳」に至っては3%減と減少に転じている。

 石破茂首相は6月の関係閣僚会議で、氷河期世代を対象とした国家公務員の中途採用試験の実施や、自治体による職業訓練、リスキリング(学び直し)などを後押しする方針を示した。

 野党も参院選公約で、賃上げをした企業への税制優遇などさまざまな支援策を打ち出している。【田中裕之】

https://news.yahoo.co.jp/articles/dda8daedf17a705f8ef98a4f9f58230e78822be0

雇用政策の転換と社会全体への影響
就職氷河期世代の課題は、単なる「過去の問題」ではなく、今なお進行中の社会的影響を持ち続けています。

この世代は、長期にわたる非正規雇用や低賃金により、住宅購入や子育て、老後の資金準備などに大きな制約を受けてきました。

こうした不安定な基盤が、次世代にも連鎖するリスクがあり、社会全体としての活力や持続可能性にも関わってきます。

特に問題視されるのは、老後に年金受給額が大幅に不足することによる「老後貧困」の拡大です。

これは社会保障制度全体の圧迫にもつながりかねず、対策が急務です。

参院選で与野党がこぞって政策を訴えるのは、1700万〜2000万人に上る層の投票行動が選挙結果を左右する可能性があるためで、実効性のある支援策が求められています。

実効性ある政策か、選挙向けのアピールか
就職氷河期世代対策を掲げる政党が増える一方で、有権者の間には「今さら感」や「選挙向けのポーズでは」といった冷ややかな見方もあります。

特に、過去にも何度か支援策が打ち出されたにもかかわらず、対象の選定が曖昧だったり、予算規模が不十分だったりしたことへの不信感が根強く残っています。

現在の支援策が果たしてどれほどの雇用創出や所得向上に結びつくのか、政策の継続性とフォローアップの仕組みがカギを握ります。

また、若者層にも「将来は氷河期世代と同じ運命をたどるのでは」といった不安があり、支援策が単なる年代別対策にとどまらず、持続的な雇用・福祉政策の一環として位置づけられるかが問われています。

政策実行の本気度が、有権者の信頼を左右する局面に来ています。

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