【「表と裏」の法律知識】#183
東京・銀座で日中に起きた大胆な強盗事件。建造物侵入容疑で逮捕された4人がいずれも16~19歳の未成年だったことでさらに衝撃が広がっています。
さて今後の処遇ですが、令和4年4月の改正民法の施行により18歳と19歳は「成人」としての責任を負わなければなりません。
一方で、批判も多い少年法の適用範囲、すなわち刑事手続き上では、いまだに18歳と19歳は「成人」でなく「少年」として取り扱われています。
従来、刑事事件を起こした20歳未満の「少年」は、捜査を終えた検察庁から家庭裁判所に送致され、少年審判を経て、少年院送致などの「保護処分」が科せられるにとどまります。
しかし、強盗罪のような重大犯罪を犯した場合は違ってきます。18歳と19歳の少年(「特定少年」と呼ばれます)は、原則的に、いったん家庭裁判所に送られた後、家庭裁判所での保護処分ではなく、再度検察庁に送られ(「逆送」といわれます)、起訴された後に、成人と同じ裁判を受け、刑務所に送られることになります。さらに逆送後は、成人と同じく実名による報道も許されることになります。
今回逮捕された4人のうち18歳と19歳の少年については、現時点では、建造物侵入での逮捕ですが、もし強盗罪での再逮捕を経て家庭裁判所へ送致されることになれば、原則逆送となり、成人と同じ裁判を受けることになる可能性が高いです。さらに、行為態様や被害金額(時価総額1億円相当)を前提にすると、一発実刑ということも十分な案件ではないかと考えられます。一方で、16歳の少年については、家庭裁判所にて、少年院送致や保護観察等の処分が科されると思われます。
それとは別に、被害に遭った時計専門店からの損害賠償額も相当額に及ぶでしょうが、その責任は少年らの親にも及ぶ可能性があります。「闇バイト」のツケは、とてつもなく高いものになりそうです。
(髙橋裕樹/弁護士)