岸田文雄前総理襲撃の木村隆二被告、法廷でまさかの裏金問題”追求

岸田文雄前総理を狙った爆発物事件で、木村隆二被告の控訴が大阪高裁で棄却され、懲役10年の判決が確定に向かいました。

ざっくりPOINT
木村隆二被告が和歌山市で岸田文雄総理(当時)に爆発物を投げ2人にけがを負わせた
和歌山地裁が未必的殺意を認定し殺人未遂罪で懲役10年を言い渡した
大阪高裁が控訴を棄却し被告は判決後に裁判官を非難し退廷
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前総理襲撃事件の司法判断と社会への影響
 岸田文雄前総理を狙った爆発物事件は、現職総理に対する重大なテロ行為として社会に大きな衝撃を与えました。大阪高裁が控訴を退けたことで、一審判決の「未必的殺意」の認定が改めて支持されました。これは、実際に殺害の意思を明確に持っていなくとも、結果的に死傷の可能性を認識したうえで危険な行為に及べば、殺人未遂罪が成立するという司法判断を強調するものです。

 近年、日本の政治家を狙った襲撃事件が相次いでいます。2022年には安倍晋三元総理が奈良県で銃撃され死亡する事件が発生し、国内外に大きな衝撃を与えました。その後、政治家の演説会場での警備強化が進められていますが、それでも2023年のこの事件が起きたことは、警備体制の再検討を促すきっかけとなりました。

 また、木村被告は判決の場で裁判官に対して「裏金問題」を持ち出し批判するなど、不規則発言を繰り返しました。こうした行動は、政治や司法への不信感が一部の人々の間で強まっている現状を反映しているとも言えます。しかし、判決は個別の政治不信の問題ではなく、あくまで爆発物使用という危険行為に対する刑事責任を厳格に問うものでした。

 今後、最高裁に上告がなされ審理が続く可能性がありますが、すでに二審までで「未必的殺意」が認定されたことから、最終的な判断も一審・二審の結論を支持する可能性が高いとみられています。今回の事件は、社会に広がる不満が暴力という形で噴出することの危険性を改めて浮き彫りにしました。司法は厳格な判断を下しつつ、社会全体としても政治参加や意見表明の健全な手段を確保することが求められています。

【速報】岸田文雄前総理襲撃 2審も懲役10年 木村隆二被告(26)の控訴を棄却 大阪高裁 「裏金もらってるんですか?告訴します」などと発言し退廷…

2023年4月に、岸田文雄総理(当時)が演説をしていた会場で、爆発物が投げ込まれた事件。1審で懲役10年を言い渡された木村隆二被告(26)は、その判決を不服として控訴していましたが、大阪高裁は9月25日、控訴を棄却しました。

「未必的な殺意があった」1審は殺人未遂罪を認定

1審での木村隆二被告(廷内スケッチ)

 1審判決によりますと、木村隆二被告(26)は2023年4月、衆議院和歌山1区の補欠選挙の応援演説で和歌山市の漁港を訪れていた岸田文雄総理(当時)らに向かって、金属製の容器に黒色火薬を詰めた手製の爆弾を投げ、演説を聴いていた人と警察官の計2人にけがをさせました。

 1審で木村被告側は、殺意を否認し傷害罪にとどまるなどと主張したものの、今年2月の判決で和歌山地裁(福島恵子裁判長)は「相当離れた範囲にいる人でも死傷する可能性があることを認識しながら、あえて爆発物を使用したと認められ、未必的な殺意があった」として、殺人未遂罪の成立を認定。

 「被選挙権の資格要件などが不当だとして国家賠償請求訴訟を起こしたものの反響がなかったことから、世間の注目を集める手段として、一連の犯行に及んだ。現職の総理を狙った爆発物使用事件で、社会全体に与えた不安感も大きい。模倣犯を防ぐ観点からも、相応に厳しい処罰が必要」と指弾し、懲役10年を言い渡していました。

 この判決を不服として、木村被告側が控訴しました。

控訴審公判にも出廷したが… 被告本人は黙秘
 8月5日の控訴審第1回公判には、木村被告本人も出廷。

 しかし、裁判長から名前や職業をたずねられても、何も答えず黙秘しました。

 被告の弁護人は、事件当時の被告に殺意はなかったなどと改めて主張していました。

大阪高裁は控訴を棄却

控訴審判決公判での木村被告(大阪高裁・25日午後)

 大阪高裁(石川恭司裁判長)は9月25日、「被告側は本件爆発物が爆発しても、死傷が生じる可能性に思い至らなかったと主張するが、点火して投げ込んでしまえば被告に爆発を制御する方法はないから、この主張は被告の想像力の欠如を示すものにすぎない」などと指摘。

 「未必的な殺意を認めた1審判決に不合理な点はない」として、木村被告側の控訴を棄却しました。

控訴審判決公判での木村被告(大阪高裁・25日午後)

 判決言い渡し中も不規則な発言をしていた木村被告は、言い渡し後には「裏金もらってるんですか?裏金もらってそういう判決を書いたんですか?裁判官を名誉毀損で訴えます。告訴しますから」などと大きな声で発言。刑務官に連れられて退廷しました。

 木村被告の弁護人は、最高裁に即日上告しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6cc699f75f7f94b395065197314403f26eeed63e