生活保護申請、3.2%増… 5年連続増

2024年度の生活保護申請件数が前年度比3.2%増の25万9353件となり、5年連続で増加したことが明らかになりました。

ざっくりPOINT
高齢単身世帯の増加が主因
3月の申請は前年同月比4.0%増
受給世帯数はわずかに減少

2024年度の生活保護申請件数が前年度比3.2%増の25万9353件(速報値)となったことが4日、厚生労働省の調査で分かった。

【ひと目でわかる】各年度の生活保護基準額引き下げ幅

 前年度を上回るのは5年連続。高齢単身世帯の増加を背景に申請件数が伸びた。

 厚労省が同日発表した今年3月の申請件数は前年同月比4.0%増の2万2484件(同)で、3カ月連続で前年同月を上回った。

 3月時点の生活保護の全受給世帯数は164万7346世帯で0.2%減。一時的な保護停止中の世帯を除く内訳は、高齢者世帯が55.4%を占め、失業者を含む「その他の世帯」は15.9%だった。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/31eef6d14e936b113769728c4b6082387bfdbbc5

高齢化と生活不安が申請増加の背景に
生活保護申請件数の増加は、進行する高齢化と経済的自立が困難な単身高齢者の増加が要因とされています。

特に年金だけでは生活が成り立たない層が増え、生活保護に頼らざるを得ない現状が浮き彫りになっています。

また、非正規雇用のまま高齢期を迎える人々の増加も深刻です。

厚生労働省のデータによれば、65歳以上の単身世帯の貧困率は高く、社会的孤立も重なり支援の必要性が高まっています。

さらに、物価上昇や医療費負担なども生活を圧迫し、申請者の裾野が広がっている実態がうかがえます。

現状では自助努力のみでは限界があり、社会全体で支える制度の強化が求められています。

生活保護制度の見直しと支援の在り方
生活保護は憲法で保障された最低限度の生活を守る制度ですが、申請のハードルや社会的偏見が根強く存在します。

実際に、制度を必要としていても「生活保護バッシング」や周囲の目を恐れて申請をためらう人も多いとされます。

また、制度の周知不足や自治体の対応の差も課題です。

今後は、申請者が安心して制度を利用できるように、支援体制の充実と運用の柔軟化が必要です。

加えて、就労支援や住宅支援、メンタルケアといった複合的な支援を組み合わせることが、再自立への一歩となります。

単なる「保護」ではなく「回復と再出発」を支える制度設計への転換が求められています。